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被嚢性腹膜硬化症

被嚢性腹膜硬化症とは、もとは人医学で命名された病態ですが、腹腔内を覆っている腹膜が腸、卵巣子宮、膀胱などを包み込んで癒着してしまう病態のことです。
当院でも、ここ数年で犬猫含め10頭ほどの症例に遭遇しております。
最も遭遇するのは、避妊手術の際に偶発的に発見するパターンです。
勿論、症状を示していない状況で、開腹して発見されるので、オーナー様も寝耳に水といった状況での事後報告となります。

開腹すると、ご覧のように小腸が膜性癒着しております。
適切な例えかどうかわかりませんが、「蜘蛛の巣に引っかかったものを丁寧にはがす感じ」です。

このように電気デバイスで慎重かつ丁寧に剝がしていきます。
小腸・大腸・卵巣子宮・膀胱が概ねくっつき合っています。
この状況では腹腔鏡手術は余計時間がかかり不向きとなります。

次は、症状有り、1歳猫の嘔吐症例です。
習慣的に吐く、食欲も徐々に無くなったとのことで当院で検査したところ、機能性イレウスにしてはおかしいため、開腹下にて精査しました。十二指腸、空回腸で膜性癒着しておりました。

このように十二指腸がS字クランク的に走行しており、漿膜面に腹膜が膜性癒着しております。

小腸も同様でした。
このこは手術後に、症状は消失しました。
これらの原因はまだ分からずですが、ここ数年増加しております。
徐々に当院も経験を積んで、概ねの対処法が分かってきたように思います。


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