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ガーガーガーッ、気管虚脱

気管虚脱という病気をご存じでしょうか??
気管は頚部から胸部にかけて走行しているのですが、その気管軟骨の形態が脆弱して平坦になるとともに、気管背側の膜性壁が伸長してしまうことで生じる発咳や呼吸困難を起こす重篤な疾患です。
犬猫ともに見られますが、殆どが犬で発症し、ガチョウの鳴き声を想像すると分かりやすいのですが、ガーガー鳴きながら舌はチアノーゼを起こします。
犬種では、トイ・プードル、ポメラニアン、ヨークシャーテリアなどの小型犬で経験します。
レントゲンで気管が細くなっていることを確認し診断するのですが、徐々に進行していきます。
(発咳当初のレントゲン画像)
(2年後のレントゲン画像)

2年経過するとは気管が明らかに細くなっているのがわかりますね。
当の本人もきついでしょうし、家にいても呼吸音が轟いているのでご家族もつらいと思います。
治療は軽症のものは、気管支拡張剤、コルチコステロイドなどのステロイド薬、鎮咳薬などの内科治療であり、重度のものは、外科治療として気管内ステントの設置、気管外プロテーゼ(PLLP)などの装着などが第一の治療と考えられます。
軽症のものや、重度だけど心臓・腎臓病などの基礎疾患で麻酔を掛けることが出来ないもの、費用面やその他の諸事情などで外科的治療ができないケースもあり、そういったケースでのポリ硫酸ペント酸ナトリウムを当院では使用します。
本剤は、もとは犬の骨関節炎症の治療薬および抗凝固薬として使用されているものですが、気管軟骨の軟骨基質の産生を促進したり、炎症メディエーターの放出を抑制したり、滑膜細胞を刺激してヒアルロン酸の生合成を促進したりする作用があります。
報告によると治療成績も31%が著効し、88.1%で何らかの改善がみられるようで、非常に成績は良いと思われます。
しかし、留意点として本薬剤で本質的に一度扁平化した気管軟骨が再生することは無いようで、気管軟骨を構造的に再建するものではなく、抗炎症作用などのその他の何等かの作用により症状を緩和するものと考えられます。
本薬剤の使用は1週間に1回ベースですが、長期的に、例えば1000回接種しても有害反応はなく、症状の改善を維持しているケースもあります。
気管虚脱を患っているワンちゃんのオーナー様方へ。

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